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3月のライオン 6/スピカ 〜羽海野チカ初期短編集〜

3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)

羽海野チカ / 白泉社

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3月のライオン 6
戦争が無くても、衣食住が足りてても、

命がけで戦っている子供たちがいて、その姿には

生半可な慰めや励ましはためらわれ、

かつて自分も子供だった時、
そういう戦いをしている友達の姿を、見守ることさえはばかられた。

戦っていた子の気持ちも、何も出来なかった子のことも、
羽海野さんは掬いあげています。



漫画作品は、
描きながら作家自身の子供時代の問題を消化してる作品と、
そういうものを卒業し成熟した視線でエールを送る作品と
2種類あると考えています。

羽海野チカさんの作品はこの両方です。


ダ・ヴィンチ9月号のインタビューで、
二階堂が病気を抱えながらエネルギーの全てを将棋に注ぎ、
「将棋盤の上ならいくらでも暴れられる」話から、ご自身の

「私も子供の頃、友達とするべきだった会話や遊びの時間を全部、絵を描くことと
物語を読むことに費やしたので。(中略)
あの子ども時代に意味を持たせるには、マンガ家としてちゃんと成功
するしかなかった。」こと、

小学生のころ、5巻の小さな零君のように、茂みに隠れてやりすごし、
「これを描けば、同じく草の中に隠れていた人たちが”ああ、わかるよ。羽海野さん”って
言ってくれると思って描きました」というお話に、

毎号心身を削るようにして描いてるんだろうなと画面から伝わる熱は
ここからくるんだなぁと感じました。


零の進む姿に、もろいプライドが何に支えられて強靭になって行くかを見、

零くんとひなちゃんの
弱さを知った者同士が互いを支えにして踏ん張る姿に胸を熱くしつつ
青春の大気圏突入☆させられてます。

スピカ 〜羽海野チカ初期短編集〜 (花とゆめCOMICSスペシャル)

羽海野チカ / 白泉社

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by tamaki_jnb | 2011-10-05 23:04